泉岳寺景観の危機

『国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会』一時休会のお知らせ

 2014月に「国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会」(以後「守る会」)を発足し、以来泉岳寺の景観を守るためにも、マンション建設反対運動を展開してまいりましたが、この度「守る会」を一時休会とさせていただきますことをお知らせ申しあげます。ご賛同・ご協力いただきました皆様方には厚くお礼申しあげますとともに、何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます。

 

マンション建設計画が立ち上がり完成まで約一年半、関係各位のご協力をいただきながら、泉岳寺の景観を守るために「守る会」として出来る限りのことを行ってまいりました。施工主の第一リアルター株式会社並びに建築施工者の株式会社ナカノフドー建設に対して、幾度となく泉岳寺の景観に見合うように計画変更の要望をいたしました。然しながら、両社から誠意ある回答は全く得ることはできませんでした。そこで、行政指導による計画変更を実現するため、港区長、港区議会議長に直接お会いして陳情書を提出、さらに、採択は難しいとされる中で、港区議会建設常任委員会での請願採択決議を勝ち取ることができました。

また、この運動の影響もあり「港区景観計画」は平成28年度から改定されることとなり、建築物の建築に対して届出対象規模が全面的に引き下げられ、特に「歴史的建造物を核とした景観形成・保全」では歴史的建造物の敷地に直接隣接する敷地内の建築物はすべての届出対象行為となりました。注意書きとして「泉岳寺及び瑞聖寺については、素案に示す参道等に直接接する敷地を含む」と明記されています。その他、高さ・規模については、「歴史的建造物よりも規模の大きな建築物については、主要な眺望点からの見え方をシミュレーションし、圧迫感の軽減など歴史的建築物等との調和において効果的な高さ・間口となるよう配慮する」という景観形成基準の拡充が行われました

 

私たち「守る会」だけでなく多くの方々にもご賛同、ご協力をいただくためホームページ等のSNS、テレビ、新聞等のマスメディア、そしてシンポウジウムの開催等、積極的な広報活動を行いました。お陰さまで、反響は大きく期間中通して行いました署名運動は全国、諸外国の方々からもご署名をいただき、累計で32,205筆にまで達しました。ご署名いただいた皆様には、この場をお借りいたしまして深く感謝申し上げます。

 

数多くの皆様方のご賛同、ご協力をいただきながら、また港区建築委員会への審査請求という法的手段も講じましたが、建築基準法の壁は厚く、さらに買取りなどの模索もしましたが、残念ながら地上8階建てのマンションは完成してしまいました。従いまして、「守る会」としての活動は一時休会とさせていただきますが、泉岳寺の景観を保つ運動は何らかの方法で継続していきたいと思います。赤穂義士のようにいつか本懐を遂げることが出来ますよう、引き続きのご支援ご協力をお願い申しあげまして、謹んでお知らせ申し上げます。

平成27年12月吉日

国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会

代表 西須 好輝

賛同者 宗教法人泉岳寺

泉岳寺景観問題ブックレットが出版されました!

泉岳寺で起きている景観問題。

今までの経緯や想いを綴った1冊のブックレットが公人の友社より発売になりました!


「平成忠臣蔵・泉岳寺景観の危機」

(著者)

法政大学名誉教授・日本景観学会会長

五十嵐敬喜

泉岳寺受処主事/牟田賢明

国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会/吉田朱音


泉岳寺の問題だけでなく、日本の景観問題についても、投げかけをしている一冊です。

私たちが歩んできた6か月がここに凝縮されています。



こちらをご購入して頂けますと、守る会の活動資金、また泉岳寺の歴史的文化財を守るための資金に結びつきます。


例えば、チラシ作製費、印刷代、幟など作成費用等や、泉岳寺の文化財修繕費用、景観修繕費用等にさせて頂きます。

ぜひご一読下さいませ!

どうぞよろしくお願いいたします。

あの忠臣蔵で有名な国指定史跡・泉岳寺の景観が壊されようとしています!

泉岳寺の歴史的価値を貶すマンション建設計画を、どうか変更してください。

 

港区高輪に建つ泉岳寺は、将軍家光の時代に今の高輪の地に移って以来、約400年間この地をずっと見守ってきたお寺です。歴史的には忠臣蔵の赤穂浪士のお墓があることで有名で、国指定史跡にもなっている港区の大切な文化財の一つです。

 

今、この歴史的文化財の横に8階建て(高さ24m弱)のマンションを建てる計画があります。

これは泉岳寺の歴史、忠臣蔵文化の歴史を大きく変えてしまうことになります。

専門家からは、ある史実の出来事が数多くの芸術作品の題材として今なお続いているということが、歴史的にもとても価値のあるものだと言われています。そして、この価値が普遍的なものとして欧米にも認められれば、世界遺産になってもおかしくないと専門家から指摘されています。

 

周辺住民として港区民として、国及び区の大切な文化財の隣にこのような建築物の建設計画には断固反対です。私たちは泉岳寺の歴史的文化財を景観から守るために、泉岳寺と地域住民との共同により、「国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会」を立ち上げました。

【泉岳寺からの提言】


今回計画されているマンションの建設は、当町会の中心に存在し、住民の信仰と憩いの場である萬松山泉岳寺を象徴する中門(現総門)に隣接するもので、町の景観を大いに損なうばかりでなく、徳川時代初期(寛永年間)に移転建立されてより約380年に亘って、この地を見守ってきた掛け替えのない遺産に傷を付ける行為であります。

 

更に元禄義挙(1703年)以降は、赤穂浪士を祭る寺として有名を博し、浅野長矩及び義士の墓所は国の史跡にも指定されており、特に忠義に始まる倫理規範が日本の美徳として国の内外からも共感を得て、全国より参拝者が絶えず、特に最近は海外からの訪問者が急増しています。

 

このような土地にある当地域は、その街並みの情緒と歴史的文化財の価値を守り、次の世代に伝えていくことは実に大切なことであり、区の文化行政の水準を高めることに結びつくものであります。

 

従って、今回のような街の景観を崩し、文化財の価値を貶めるマンション建設計画は、400年の歴史を有する泉岳寺の歴史的・文化的価値や宗教的・道徳的情操の働きを薄めるものとなり、日本の倫理的精神的支柱に感動して訪れる国内外の人々に、大きな失望感を懐かせるものとなるでしょう。

 

そして、このような街の景観を野放図に侵害する行為を、建築基準法に適っているからと言うことだけで容認するならば、多くの人が深い失望を懐くことになるのではないでしょうか。

 

当地域の歴史的文化につながる景観の調和を守るために、この計画の変更を嘆願致します。

 

宗教法人泉岳寺

マンション解体工事現場(現在3階建てが8階建てになってしまいます)
泉岳寺中門隣 マンション解体工事現場(現在3階建てが8階建てに!!!)

泉岳寺特別市民講座 東郷和彦氏講演

今日本人が大切にすべきこととは?

泉岳寺中門前で行った、シール貼り

アンケート!!!

㊧「泉岳寺の景観や価値を壊す」

㊨「泉岳寺の景観や価値に影響しない」

 

4日間貼り出した結果は、

㊧「泉岳寺の景観や価値を壊す」

 =236

㊨「泉岳寺の景観や価値に影響しない」

 =5

 

ということで、オカシイなと思う人が

多いということが分かりました。

 

ここからも参加出来ます!

マンション建設による弊害とは?!

1.  教育的見地から

泉岳寺の景観を残していくということは、後世に歴史を伝えていくためにもとても大切なことです。門の横にお寺の空を隠してしまうようなマンションが建ってしまったら、歴史を伝えようにも、伝わるものは半減してしまうことは容易に想像できるかと思います。

これは、未来を託すこどもたちへ正しい歴史認識と文化的価値のある物の保護保存の教育を阻害し、心の教育としても「大切なものは守り伝える」事を無視したものになってしまいます。

 

2.  経済的見地から

港区産業振興課の調べによると、泉岳寺は港区内の観光スポット・史跡の中で観光客が2番目に多く、また興味ある観光スポットでは第一位になっています。これからの人口減少を考慮したときに、港区ではこの6年間は人口増加だということを打ち出していますが、日本全体では確実に人口減少が大きな問題となっており、港区内の財源を住民税からだけで考えることは極めて危険であり、経済を観光資源からの財源としての仕組みを創ることはとても有効なことになると思われます。景観価値の減退により、近い将来における、「泉岳寺」としての「ブランド力低減やイメージ悪化」に繋がる可能性が十分にあります。

観光資源であることはもちろん、宗教文化的側面において、地域住民の生活基盤においても、経済的な影響は現在・未来を考慮すれば、甚大になると考えざるを得ません。

 

3.  文化的見地から

今より400年前、元禄期より存続し、大きな歴史詩的舞台にもなった泉岳寺。その総門の横に、8階建てマンションを建てることは、泉岳寺の文化的遺産を否定するものです。山手線、新駅の誕生も控え世界から、観光客が訪れる事が予想されます。景観を無視した企業の利益のみを考えたような行動は、より良い未来につながるとは思えません。

赤穂事件の史実から「忠臣蔵」の物語は国民から愛され、歌舞伎、浄瑠璃、講談、舞台、映画、ドラマ、舞台、オペラ、等、数多くの芸術作品の題材として、日本ばかりでなく海外にも広くしられ、世界中この数か月だけでも42か国以上の国から観光客が訪れています。忠誠に始まる倫理規範が日本の美徳として国の内外から多くの共感を得ている証拠であり、この忠義、武士道といった価値が普遍的価値として海外から認められれば、世界遺産になってもおかしくないと専門家から指摘されています。

泉岳寺を歴史的な文化遺産と認識し伝え守り続けて来た、先人の努力を私たちは次の世代に伝えなくてはならないと思います。

 

国指定史跡・泉岳寺の歴史的文化財を守る会

代表                西須 好輝

賛同者         宗教法人泉岳寺